株式会社天鹿

ドリームヒルトムラウシでの研修その3 ~解体から枝肉~

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こんにちは!北海道を拠点にエゾ鹿の利活用、6次化を推進しているQ太郎です!

このブログではエゾ鹿の生態や豆知識、エゾ鹿牧場の様子、エゾ鹿牧場で働くスタッフの成長、ハンターについて、エゾ鹿を利活用した食品・製品開発など、エゾ鹿に関するあらゆる情報をご紹介していきます。

今回は(株)ドリームヒル・トムラウシでの研修の様子をお届けします。

ドリームヒルトムラウシ研修第3回目の内容はエゾ鹿の解体過程をご紹介します。

第1回と第2回の研修内容をまだご覧になってない方はよろしければチェックしてみてください☆

ドリームヒルトムラウシでのエゾ鹿研修 その1

ドリームヒルトムラウシでの研修その2 エゾ鹿の生体捕獲の方法~囲い罠~

前回まではQ太郎君がはじめて屠殺を経験したのよね

今回はその鹿の皮を剥いでお肉にするところをご紹介するよ

どんな過程を経てお肉までになるのかしら。Q太郎君よろしくね☆

 

 

エゾ鹿解体のプロセス

まずはじめに食肉におけるエゾ鹿解体の手順を大まかに説明します。

 

エゾ鹿解体プロセス
  1. 放血:速やかに放血(血抜き)を行う。血が体内に残っているとお肉の味にも大きく影響します。
  2. 剥皮:体を覆っている皮を剥ぎます。
  3. 内臓摘出:内臓をとりだし、腹腔たまった血や汚れを洗い流す。
  4. 洗浄・消毒:塩素水や電解水で殺菌消毒する。
  5. 冷却:3~10日ほど冷却し、熟成させる
  6. 分割:枝肉に分割し、各部位を解体する

 

こんなに作業工程があるのね

ひとつ一つの作業は多いように思うかもしれないけど、実際には

流れ作業で進むから思ったより時間はかからないよ

 

 

1.放血

放血を十分に行うことが、品質の良い肉にするための必須条件です。放血が十分でないと、臭くクセのある肉質になります。 放血させる箇所は、顎下あたりもしくは心臓上部の頸動脈です。

ポイントは、速やかに血管以外の組織をできるだけ損傷しないように行うこと、放血のための刃の刺入口はできるだけ小さくし、必要最小限にすることです。放血の際は、足から吊るしたり、傾斜で頭側を下にしたりして、血が流れ落ちていくようにします。

 

2.剥皮

皮剥ぎには切れ味が弱くてエッジのカーブが緩やかな刃物を使うとよいでしょう。また剥皮で使用した刃物は、そのまま精肉作業には使わず、別の刃物等に替える、もしくは熱湯で消毒してから使用したほうが衛生的です。

また、刃に脂が付着すると、皮が剥ぎにくくなりますが、都度熱湯で湯煎することによって切れ味が戻ります。 まず、足の周りに一周切れ込みを入れます。それから足の付け根から足先(先ほど入れた切れ込みの方向)に向けて皮を切断します。

肉と皮の間に刃を入れて、皮を剥いでいきます。このとき、皮がめくれあがって肉に毛が付着しないよう気を付けます。頭の部分は、脊柱を切断して、皮ごと落とします。

肛門と食道をタコ糸などで結紮(けっさつ)して次の工程に進みます。

 

3.内臓摘出

内臓摘出で重要なのは、内臓やその周辺を破らない事。そのために、使用するナイフは切っ先が鋭くないものや、ガットナイフを選ぶとよいでしょう。

また、尿道を傷つけないよう気を付けましょう。ひとまず尿道を体の外にたらしておけば、尿が漏れ出ても肉に付着することを減らすことができます。

内臓を傷つけないように刃の先よりも指を先行させ、刃をお腹の内側から外側に向けて切り広げていきます。 胸骨を開き、内臓を取り出していきます。食道や直腸は結紮しておけば、内容物が漏れ出すのを防げます。

喉の中から食道と気道を引き出して切っておき、そこを持って肛門方向に引きずりだしていきます。横隔膜と肋骨がくっついている箇所は、ナイフで切断します。

内臓をすべて取り出したら、それらに異常がないか確認します(内臓表面や断面に白色点、出血、変色部分等はないか、寄生虫はいないか等)。明らかな異常がある場合は、食肉用とせず廃棄とするほうが安全です。

なお、質のいい肉を手に入れるにはなるべく速やかに内臓摘出を行い、その後冷水にさらすなどをして体温を下げる必要があります。内臓を残したまま高温の体温が続くと、肉の劣化が起こります。

 

4.洗浄・消毒

シカの体表に付着した血、ダニ、毛を水で洗い流します。放血した部分は念入りに消毒します。消毒は人体に害が及ばない程度の塩素水や電解質水がしようされます。

この際、シカの体表に打撲による内出血や骨折、そのほかに異常がないかなどをチェックします。もし異常がある個体ならばその時点で食肉としては廃棄します。

 

5.冷却

洗浄消毒を終えた個体はすみやかに冷蔵庫で冷却します。食肉の場合、ある程度お肉を冷蔵庫で乾燥熟成させると、お肉が柔らくなり、味もよくなります。

6.分割

分割方法はそこの施設や使用目的によって変わってきます。腕、胴体、足に3分割する場合もあれば、背骨から刃を入れて縦に2分割する(背割り)など。最終的には部位ごとに分割していきます。

まずは前腕、胴体、ネック、後ろ足をそれぞれ外します。前腕は肩甲骨、ネックは脊髄、胴体と後ろ足は骨盤で分けるのが一般的です。

ナイフの刃先でお肉を傷つけないように十分気を付けながら分割していきます。

基本的にお肉は、膜もしくは骨にくっついています。部位ごとにそれぞれ違うのでこれは数をこなして覚えるしかありません。

前腕とネックを分割している様子

 

部位ごとの有効活用

鹿にかかわらずですが、部位によって適している調理方法が異なります。例えばトモスネやマエスネとよばれる部位は水分量が多く、スジが多いのが特徴です。これらを焼いてステーキとして食べようと思っても、嚙み切れなくて食べれません。スジが多い部位は煮込み料理などが適切です。ステーキは肩から背中にかけてあるロースの部分が適切でしょう。その部位に適した調理方法でおいしくエゾ鹿肉を食べましょう。

エゾ鹿のロースをじっくり低温で加熱したエゾ鹿のロースト。ハチミツとマスタードと合わせれば相性抜群。シラーズなどの赤ワインとも相性抜群

弊社とドリームヒルで出品したクラウドファンディングの商品。エゾ鹿のしゃぶしゃぶはロースとモモを使用しています。

ドリームヒルトムラウシの商品の一つ、スネをミンチにした「エゾ鹿肉のフリカデラ」

ドリームヒルトムラウシ公式ホームページはこちら

Q太郎の感想
今まで食肉加工に関わったことがなく、初めての経験に驚きの連続でした。それも枝肉を加工するだけではなく、野生のエゾ鹿を捕まえてきて屠殺から全てを経験したのでその驚きはより一層です。
普段食べている牛肉や豚肉、鶏肉なども誰かが加工しているのだとおもうと、食べ物や命に対する価値観が今までとは全く違うことが最大の変化です。
エゾ鹿は農業被害や森林被害などから有害駆除の対象として指定されていますが、元をたどれば人間がオオカミを絶滅させたことから始まっています。はたしてエゾ鹿は有害なんでしょうか。現在は頭数制限という形で人の手によって一定数に保たれていますが、だからこそその有効活用までしっかりと責任を取っていかなければいけないと感じました。

★文章を入れる★Q太郎君、またとんでもない経験をしたわね☆

この間、Q太郎君がくれたエゾ鹿のロースト、臭みが全くなくてとってもおいしかったわ!!

わたしにも今度解体の方法教えてね!

 

 

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