ドリームヒルトムラウシでの研修その2 エゾ鹿の生体捕獲の方法~囲い罠~
こんにちは!北海道を拠点にエゾ鹿の利活用、6次化を推進しているQ太郎です!
このブログではエゾ鹿の生態や豆知識、エゾ鹿牧場の様子、エゾ鹿牧場で働くスタッフの成長、ハンターについて、エゾ鹿を利活用した食品・製品開発など、エゾ鹿に関するあらゆる情報をご紹介していきます。
前回は研修初日から屠殺現場を見学するという衝撃の展開をお届けしました。
今回は北海道新得町トムラウシにある(株)ドリームヒル・トムラウシさん(以下ドリームヒル)に研修に行った様子その2『エゾ鹿の生体捕獲の方法』をご紹介します。
山や畑を走り回っているエゾ鹿をどうやって生きたまま捕獲するのかしら。
目次
エゾ鹿生体捕獲の方法~罠の種類~
エゾ鹿を生体捕獲するためには、なるべく個体を傷つけずに、なおかつストレスを極力与えない方法で捕獲する必要があります。
まずは代表的な3つの罠の種類をご紹介します。
その1 箱罠
檻が箱状になっており、箱の内部に鹿が入ると、仕掛けが作動して捕獲する仕組みになります。
その2 くくり罠
くくり罠は、イノシシやシカなどの獣を捕獲するために古くから使われている道具です。獣の足をワイヤーで「くくる(括る)」ことによって捕獲します。
その3 囲い罠
比較的大きな敷地をベニヤ板やビニールシート等で囲い、餌で誘引して捕獲します。鹿が跳んでも壁を超えてしまわないよう、壁の高さは2.5m以上あります。群れで捕獲でき、他の罠に比べて鹿に与えるストレスが少なく捕獲することが可能です。
私がもしも鹿だったら、3つ目の囲い罠が一番ストレスもなくてよさそうだわ。
そもそも捕まりたくはないけれども…
生体捕獲をして養鹿する場合のほとんどは、囲い罠を採用するんだ!
ドリームヒルでは全部で3つの囲い罠を使ってエゾ鹿の生体捕獲をしているよ
鹿に与えるストレスとお肉の関係性
鹿に限らずですがストレスを与えた状態で屠殺された個体のお肉はあまりおいしくないといわれています。科学的にはまだはっきりとはしていませんが、死後硬直による筋肉の硬化が早まること、心拍数が上がることで体温が上昇することが原因といわれています。
エゾ鹿のお肉の良し悪しは、ストレスにも大きく関わっているのね
ハンターさんの腕にも影響してくるんだ。
この話は別の機会で詳しく話すとしよう
ドリームヒルトムラウシでの生体捕獲~囲い罠~
ドリームヒルで使用している3つの囲い罠はどれも機械装置を使わない力学的な方法でエゾ鹿を生体捕獲しているんだ。
野生のエゾ鹿を扱う際になるべく機械に頼りたくないという高倉所長の意向なんだ。
1つ目の囲い罠は直接、養鹿牧場に直結していて約1haの広い敷地となっています。
生体捕獲までの流れ
①鹿を誘引する為に適所に餌(ビートパルプ)を配置する
②水糸を適度の張りで固定する
③鹿が水糸に触れ、切れると重力でゲートが閉まる仕組みにする
↑水糸貼る作業
↑水糸が切れるとゲートのフックが外れてゲートが閉まる
↑動作確認
なんだかピタゴラスイッチみたいね☆
2つ目と3つ目の囲い罠は山のふもとにそれぞれ違う場所設置しています。同じく水糸を使い、鹿が水糸を切ると、ゲートが落ちる仕組みです。
↑山のふもとに罠を設置して、山から畑の作物を食べに下りてきたエゾ鹿を捕獲する
↑ビートパルプなどの餌で囲い罠まで誘引する
↑生体捕獲したエゾ鹿は通路まで追込み、仕切り板で年齢、雄雌などに分ける
↑捕獲したエゾ鹿を1頭ずつ箱に入れ、養鹿牧場に放つ
↑時には破壊された壁を補修することも
現代的な囲い罠
最近はハイテクな機械を使った囲い罠が主流なんだぜ★
新得町の役場が設置している最新の囲い罠を点検する機会があったから紹介するよ
最近の囲い罠は赤外線センサーや熱反応感知器、インターネット環境を駆使したものが増えてきています。
鹿が罠の中に入ると携帯電話に通知が届き、指示を出すと自動的にゲートが閉まるようになっています。
↑鹿がゲートを越えると携帯電話に通知が入る
↑熱反応感知器やカメラで何頭捕獲されているかもリアルタイムでわかる
これはすごいわね!でもほとんど夜中に通知がきて寝れなさそうだわね…
いかがでしたでしょうか。今回はエゾ鹿の生体捕獲の囲い罠の方法をご紹介しました。
次回は『エゾ鹿の生態』について触れていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます☆
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それではまた来週
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