株式会社天鹿

ドリームヒルトムラウシでのエゾ鹿研修 その1

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こんにちは!北海道を拠点にエゾ鹿の利活用、6次化を推進しているQ太郎です!

このブログではエゾ鹿の生態や豆知識、エゾ鹿牧場の様子、エゾ鹿牧場で働くスタッフの成長、ハンターについて、エゾ鹿を利活用した食品・製品開発など、エゾ鹿に関するあらゆる情報をご紹介していきます。

今回は北海道新得町トムラウシにある(株)ドリームヒル・トムラウシさん(以下ドリームヒル)に研修に行った様子をご紹介します。

 

ちなみに、前回の内容は下記からどうぞ

北海道のど真ん中、トムラウシへ

 

札幌ではもうすっかり雪も溶け、日差しが暖かくなってきた4月の中頃、Q太郎は北海道のど真ん中、新得町トムラウシに向かいました。

札幌からトムラウシまでは車でおよそ3時間ほどかかります。

今回の研修は7月までの3か月で、ドリームヒルには初歩的なことから応用編までびっしり教えていただきました。

4月中頃でもまだまだ雪が残るトムラウシ

 

トムラウシは牛舎が多く、牛の餌である牧草をエゾ鹿も好んで食べます。

北海道における農業被害の8割はエゾ鹿によるものと言われていて、ここトムラウシでも農家さんにとっては悩みのタネとなっています。

エゾ鹿は年に1回出産をするので、その数は毎年倍々で増えていくことになります。エゾ鹿が増えすぎてしまうことによって家畜牛を育てるための餌(牧草)がより食べられてしまう可能性が高くなるため、エゾ鹿の頭数を人的に制限する必要があるのですが、近年ではただエゾ鹿を狩猟したり殺すのではなく、食肉やレザーなど有効に活用していく考えが広まってきています。

いただいた命は感謝の気持ちをもって有効活用しないといけないわよね

 

 

ドリームヒルでは囲い罠という方法でエゾ鹿を捕獲し、一時的に養鹿しています。

脂が一番のりやすい秋~冬(トップシーズン)にかけて人用食肉として東京のレストラン等に出荷しています。

その他にも人用食肉ではあまり需要の少ない前足やスネの部分も余すところなく有効活用しています。

水分の多いスネをじっくり煮込んでシチューやパルマンティエの缶詰として加工販売しています。

ドリームヒル・トムラウシで加工販売しているエゾ鹿肉をホロホロになるまで煮込みほぐしたパルマンティエの缶詰。

 

トムラウシ入りする前日に、長年ドリームヒルで所長を務める高倉さんから連絡がありました。

「大きい5才の雄鹿を捕獲してあるから、Q太郎君が到着したらすぐに屠殺(とさつ)するよ!」とのこと。

雄の大きな個体は飼育するのが困難なため、トップシーズンの秋まで養鹿せずに屠殺することがほとんどだそうです。

早速の屠殺の知らせに、ついに始まるのかと期待半分、やらなければいけないんだ!という強制的に自己暗示をかけながら現地に向かいました。

 

無事到着して挨拶を済ませ、屠殺場の方へ。2.5m以上あるフェンスからこちらを

じーーっと見上げる雄のエゾ鹿の姿が。

 

デ……デカイ。

 

しかも少し暗かったこともあり、目が青緑に光っています。

 

コ……コワイ。

 

高倉さんから一通り屠殺手順の説明を受け、今回は初日ということもあり、近くで見学することに。

 

ここドリームヒルでは大きな雄のエゾ鹿は鉄フレームとベニヤ板で覆われた四角い箱の中に入れ、完全に電気ショックで気絶させてから屠殺するようです。やはり、人の力の何倍もある野生のエゾ鹿を扱うというのは大変危険なのでしょう。

うまく鹿を誘導することに成功し、箱の中に入った雄鹿の頭に電気を流します。

毎年100頭以上を同じ方法で行っていますが、何回やっても緊張が走る瞬間だと語る高倉さん。

箱を開けると体重100キロ以上のエゾ鹿が横たわっていました。

すぐに力ずくで引っ張り出し、両足をワイヤーで縛ってウィンチで宙に浮くまで上げていきます。

足がのびていると軽く2mは越えるであろう巨体に僕は茫然と見ていました。

すぐさま鹿の喉(頸動脈)にナイフを素早く差し込み、そのままスパッと切りました。

放血した瞬間、血が噴水のようにあたりに噴き出しました。

唾をのみこみじっと見つめる僕に、高倉さんは指で心臓当たりを押さえてここにに刺してごらんとナイフを差し出しました。

ナイフを強く握り、覚悟を決め思い切り刺すとさらに血がでてきました。電気ショックで完全に心肺停止の状態にするとうまくポンプの力が働かず、体内に血が残ってしまいお肉にしたときの味に影響がある為、血の放出量が少ない場合は胸の部分からも放血するのだそう。

1分以上はしばらく暴れていたでしょうか。初めての光景にこれは大変だと素直に思いました。

完全に動かなくなると筋肉も緩み、放血も完了したみたいです。

すぐさま皮をはぎ、内臓を取り出して消毒洗浄され冷蔵庫の中に収容されていきました。

解体方法については別の機会にアップします。

 

全てが初めての光景に、自分の体もアドレナリンが上がって緊張していたのでしょう。どっと疲れたのを覚えています。

こうしてドリームヒル・トムラウシでの研修は幕をあけたのです。

 

次回、ドリームヒルトムラウシでのエゾ鹿研修 その2に続く

 

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